人事/経営

2023.10.09

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最低賃金の引上げによる中小企業への影響と必要な対策とは

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令和5年度の地域別最低賃金は、前年度より全国加重平均額で43円アップして、過去最高額の1,004円となります。原材料費や輸送コストなどが上がる中で、賃上げする余裕がないと頭を抱えている中小企業の経営者の方もいるのではないでしょうか。

この記事では、令和5年度の最低賃金額と最低賃金アップが中小企業に与える影響、賃金の引き上げの対策について解説します。

令和5年度の全国最低賃金

令和5年度の地域別最低賃金が決定して10月から発効されます。企業の経営者や人事担当者は、最低賃金額をしっかり把握して賃上げなどの対応をする必要があります。

最低賃金とは

最低賃金とは、労働者に対して使用者が支払わなければならない賃金の最低額です。最低賃金の制度は、最低賃金法という法律によって定められていて、使用者が最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金との差額を支払わなければなりません。また、支払わない使用者には罰則が課せられます。

最低賃金には、都道府県ごとに決められる「地域別最低賃金」と、特定の産業ごとに設定されている「特定最低賃金」の2種類があります。

「地域別最低賃金」は、都道府県ごとに設置されている地方最低賃金審議会によって、審議されて毎年改正されます。

令和5年度の全国最低賃金

令和5年度の地域別最低賃金は、全国平均で1,004円(時間額)で各都道府県の地域別最低賃金と発効日は以下の通りです。

( )は令和4年度地域別最低賃金

最低賃金の計算方法

最低賃金は時間額で決められているため、月給制や日給制の場合には時給計算に直して算出する必要があります。それぞれの算出方法は次の通りです。

最低賃金の対象となるものとならないもの

最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金である「基本給」と「諸手当」の「所定内給与」です。ただし、諸手当のうち、精勤・皆勤手当や通勤手当、家族手当は対象となりません。

具体的には、支払われる賃金から次の賃金を除いたものが最低賃金の対象となります。

(1)臨時の賃金(結婚手当など)
(2)賞与など
(3)時間外勤務手当
(4)休日出勤手当
(5)深夜勤務手当
(6)精勤・皆勤手当、通勤手当、家族手当


月給制の場合の計算方法

月給制の場合、一度時間当たりの賃金を計算する必要があります。

計算例
・基本給:200,000円
・職務手当:20,000円
・通勤手当:8,000円
・時間外手当:20,000円
・月間労働日数:22日
・労働時間/日:8時間

最低賃金の対象となるのは「基本給」と「諸手当」です。
基本給200,000円+諸手当(職務手当)20,000円=220,000円
この金額を時給に換算していきます。
220,000円÷月間労働日数22日=10,000円(日給)
10,000円÷労働時間8時間=1,250円(時給)


日給制の場合の計算方法

日給制の場合も最低賃金の対象となるのは「日給」と「諸手当」です。それぞれを1時間当たりの賃金で計算して合算します。

最低賃金引き上げによる中小企業への影響

令和5年度の地域別最低賃金の引き上げ額は平均額で43円と過去最高です。時給が43円引き上げられると、企業の負担は労働者1人当たり月に8,000円以上(社会保険料込み)になると試算されていて、特に中小企業には大きな影響があると考えられます。

新規採用が難しくなる

最低賃金の引き上げにより人件費が増えるため、企業が雇用人数や労働条件を見直す可能性があります。また、人件費の増加が企業の経営を圧迫するような状況になれば、人手不足であっても新規の採用を断念せざるを得なくなります。その結果、事業を縮小することにもなりかねません。

正社員のモチベーション低下

最低賃金の引き上げにより賃金がアップされるのは、アルバイトやパートなど時給制で働く非正規社員の方のケースが多いでしょう。同時に正社員の賃上げも実施されなければ、正社員に不公平感が生まれモチベーションが低下する恐れがあります。

扶養の範囲内で働く社員の勤務時間が減る

扶養内で働く人は、賃上げになると扶養範囲を超えないように、勤務時間を減らさなければなりません。そのため、パート社員を多く雇用している企業は人手不足になる恐れがあります。

中小企業ができる最低賃金引上げへの対策

最低賃金の引き上げによる従業員の賃金引き上げは、中小企業にとっては大きな負担となります。しかし働き方や業務の進め方を見直す良い機会でもあります。最低賃金の引き上げはほぼ毎年行われるので、賃上げに対応できるように対策を検討しましょう。

業務の効率化による生産性向上

最低賃金の引き上げにより人件費が増えると、その分企業の利益は減少します。減少した利益を補うには、生産性を向上して収益を上げるしかありません。

生産性を向上させる方法としては、DX(デジタルトランスフォーメーション)やITの導入による業務の効率化があげられます。特にDXの導入によって業務が最適化できれば、作業時間の短縮や人件費などのコストの削減などの効果が期待できます。

従業員のスキルアップ

賃金が上がると従業員はやる気が出るはずです。この機会に、従業員のスキルアップを図って、個々の生産性を向上させましょう。

従業員をスキルアップさせるため、社内研修の実施、外部セミナーへの参加、資格取得の支援などの取り組みを検討してみましょう。

国の支援制度を活用する

賃上げに取り組む企業に対して、国は助成金や税額控除の制度を用意しています。上手く活用しましょう。

業務改善助成金

「業務改善助成金」は、生産性向上のための設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。

参考:厚生労働省「業務改善助成金」

中小企業向け賃上げ促進税制

「中小企業向け賃上げ促進税制」は、適用要件を満たした上で、前年度より給与などの支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税または所得税から控除できる制度です。

参考:経済産業省「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

生産性を向上させて、労働時間の削減や有給休暇取得の促進など労働環境の整備に取り組む中小企業に対して支援する助成金で、助成額は最大で730万円です。

参考:厚生労働省「令和5年度働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)のご案内」

まとめ

2023年10月から各都道府県で最低賃金が引き上げられます。近年の物価高騰や人手不足を受けて、政府は「できる限り早期に全国加重平均1,000円以上を目指す」ことを骨太方針に盛り込みました。そのことからも、来年以降も最低賃金引き上げが予想されます。パート社員を多く雇用している企業は人手不足になる恐れがありますので、早めの対策が必要です。

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