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2022.10.25

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【2022年10月1日施行】職業安定法(職安法)改正について解説

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2022年10月1日に、改正職業安定法(職安法)が施行されました。今回の改正では、「募集情報等提供」の範囲が拡大されるなど、これまで対象外とされていたものも規制の対象となっています。知らずに違反してしまうと、罰則や罰金が課せられることもあるので、職業紹介事業者や求人募集を行う企業の担当者は、改正内容についてしっかりと把握しておくことが必要です。

職業安定法(職安法)とは

職業安定法(職安法)は、「それぞれの能力に合った職業に就く機会を与え、職業の安定を図るとともに、経済や社会の発展」を目的とした法律です。

誰もが職業を自由に選択することができる「職業選択の自由」、人種や国籍、信条、性別、社会的身分などの理由で、職業紹介や職業指導について差別的取扱を受けることがな「均等な待遇」、職業紹介や求人のルールなどが定義づけられています。

令和4 年3月に職業安定法(職安法)の改正を含んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律」が公布されました。職業安定法(職安法)の改正は、令和4年10月より施行されされています。(一部は令和4年4月に施行)

今回の職業安定法(職安法)の改正では、求職者が安心して就職・転職活動ができる環境の整備と、マッチング機能の向上を目的としてます。具体的な改正の内容については次の章で詳しく解説します。

参考:e-Gov法令検索「職業安定法」

今回の改正ポイント4つを解説

今回の職業安定法(職安法)改正のポイントを4つ紹介します。

改正ポイント①「募集情報等提供」の定義を拡大

これまで「募集情報等提供」とは「求職者に求人情報」を「企業に求職者情報」を提供することを指していました。しかし、今回の改正で、次のようなサービスも新たに「募集情報等提供」に含まれるようになりました。

・他の職業紹介事業者や募集情報等提供事業者を依頼元や情報提供先にするサービス
・インターネットで公開されている情報をクローリングして提供するサービス

この改正の背景には、近年クローリング型の求人メディアやビジネスSNSといった新たな様式の求人メディアが登場して普及したことがあげられます。

改正ポイント②特定募集情報等提供事業者の届出制

今回の職業安定法(職安法)改正のポイント2つ目は、「特定募集情報等提供事業者」に届出が義務付けられた点です。

「特定募集情報等提供事業者」とは、求職者の情報を収集して募集情報などの提供を行う事業者のことです。具体的には次のようなサービスです。

・求職者に会員登録を求めるサービス
・求職者のメールアドレスを収集して情報を配信するサービス
・閲覧履歴に基づいて求人情報を提供するサービス

これらの「特定募集情報等提供事業者」は、事業者の名称、所在地、電話番号などを厚生労働省にオンラインで届け出しなければなりません。この届出義務は、既存の事業者にも適用されるため、届出が必要です。ただし、経過措置として、2022年12月31日までに届出すればよいとされています。

改正ポイント③求人情報の的確な表示

改正ポイントの3つ目は、求人に関する情報について「正確で最新の情報を保つための措置」と「虚偽の表示や誤解を与えるような表示をしない」ことを義務付けた点です。

的確な表示が義務づけられた項目としては、「求人情報」「求職者情報」「求人企業に関する情報」「自社に関する情報」「事業の実績に関する情報」があげられています。

具体的には、求人情報を正確で最新のものに保つために次のようにすることがもとめられます。

・募集を終了したら速やかに求人情報の提供を終了する
・募集内容が変更になったら、速やかに求人情報の内容を変更する
・求人メディアなどを利用している場合は、募集終了や内容変更を反映するように依頼する。
・いつの時点の情報なのか明確にする
・求人メディアなどから、求人情報の訂正や変更を依頼された場合には、速やかに対応する

改正ポイント④個人情報についての取り扱いルール

改正ポイントの4つ目は、個人情報の取り扱いに関するルールの変更です。

「特定募集情報等提供事業者」に対して、「求職者の個人情報取扱いに関する規定」「業務上知りえた求職者の秘密を守る義務」「個人情報をみだりに第三者に提供してはならない」という規定が新たに適用されるようになりました。

また、個人情報を収集する際には、具体的に目的をウェブサイトなどに掲載するなど方法で明示することが義務づけられました。これにより、これまで「求人情報を提供のために使用します」とのみ表示していたものも、「求人情報に関するメールマガジンを配信するために利用します」や 「会員登録の時に入力した情報は当社の会員企業に提供します」など、より具体的に示すことが求められます。

参考:厚生労働省「職業安定法改正のポイント」

職業安定法(職安法)改正に関する罰則

職業安定法(職安法)には、今回改正されたポイント以外にもさまざまルールが定められていて、法律に違反した場合には罰則や罰金を受けることになります。職業安定法(職安法)に関する主な罰則規定をまとめました。

職業安定法第63条

・暴行や脅迫、監禁などの不当な方法での、職業紹介や労働者の募集、労働者の供給
・公衆衛生、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的での、職業紹介や労働者の募集、募集情報の提供、労働者の供給

違反した場合:1年以上10年以下の懲役、または20万円以上300万円以下の罰金

職業安定法第64条

・虚偽や不正な行為によって職業紹介事業許可を受けた場合
・事業停止や事業廃止の命令に違反した場合
・他の事業者に名義を貸して有料職業紹介事業をおこなわせた場合

違反した場合:1年以下の懲役または100万円以下の罰金

職業安定法第65条

・虚偽の広告、虚偽の条件を提示して募集や募集情報の提供をおこなった場合
・不当な報酬を得た場合
・届出をしないで無料職業紹介事業をした場合
・届出をしないで特定募集情報等提供事業をした場合

違反した場合:6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金

職業安定法第66条

・業務上知り得た求職者の秘密を漏らした場合
・有料職業紹介事業の申請で虚偽を記載をした場合
・理由なく報告を怠った場合
・虚偽の報告をおこなった場合 など

違反した場合:30万円以下の罰金

職業安定法(職安法)改正に関するQ&A

今回の職業安定法(職安法)改正について、よくある疑問点についてQ&Aとしてまとめました。参考にしてください。

Q:メールアドレスを収集して、合同説明会など一般的なお知らせだけを配信している場合にも特定募集情報等提供となりますか。
A:メールアドレスを収集していても、合同説明会など一般的なお知らせや当日の入場者の管理のためだけに使用して、求人情報を提供するために利用していない場合や、合同説明会に参加した企業にメールアドレスを提供していない場合など、募集情報等提供に利用していないと認められる場合は該当しません。
Q:職業紹介事業者が、紹介求人をサイトに掲載している場合、募集情報等提供に該当しますか。
A:単に紹介求人をサイトに掲載するのであれば、募集情報等提供には該当しません。しかし、サイトを利用すれば職業紹介に加えて、労働者を募集する企業と直接連絡をとることができるようにしているなど、募集情報等提供を行っていると認められる場合には、募集情報等提供事業者としての義務の遵守が必要です。
Q:「虚偽の表示」とはどのようなものですか。
A:具体的な例としては、実際に求人を行う企業と別の企業の名前で求人を行う場合、正社員と記載しながら、実際にはアルバイトやパートの募集をする場合、 基本給○万円と表示しながら実際にはその金額よりも低い賃金を予定している場合、は採用予定のない求人を出す場合などです。
Q: 「誤解を生じさせる表示」とはどのようなものですか
A:業績好調なグループ会社の実績を大きく記載して、あたかもその求人企業の実績であるかのように表示する、請負契約であることを明示せずに、労働者の募集と同じ表示をする、給与の高い社員の基本給を示して、全ての社員の基本給であるかのように表示するなどです。

まとめ

今回の改正の大きなポイントは、「募集情報等提供の定義を拡大」「特定募集情報等提供事業者の届出制」「求人情報の的確な表示」「個人情報についての取り扱いルール」です。違反すると罰則や罰金が課せられることがあるので、改正された内容についてしっかりと把握しておきましょう。

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