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2022.10.14

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通勤手当とは?交通費との違いについて解説

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企業の求人を見ると、通勤手当について記載されていることがあります。求職者の皆さんは、通勤手当とはどのような手当なのかご存じでしょうか。本記事では、通勤手当と交通費の違い、通勤手当を申請する時の注意点などについて解説します。

通勤手当とは

「通勤手当」とは、通勤にかかる費用の全額または一部を、企業が従業員に手当として支給するものです。電車やバスなどの公共交通機関で通勤する場合にはその運賃を、自家用車で通勤する場合には消費する燃料代を基準に支給額が決められるのが一般的です。

多くの企業で導入されていますが、必ずしも支給しなければならないわけではありません。通勤手当は、住宅手当や家族手当などと同じ「法定外福利厚生」であり、労働基準法などの法律には規定がありません。企業が就業規則や給与規定で、独自にも設けている手当であり、通勤手当を支給していない企業もあります。

通勤手当の支給方法としては、給与と合わせて現金で支給する方法と、定期券などで現物支給する2つの方法があります。また、現金で支給する場合には、通勤費用の全額を企業が負担する「全額支給」と、予め規定した金額をすべての従業員に支給する「一律支給」、そして「月10,000円まで」「1日500円まで」といったように、1か月や1日の単位で支給上限額を規定する「規定内支給」とがあります。

通勤手当と交通費の違い

通勤手当と似ている言葉に「交通費(旅費交通費)」があります。どちらも移動にかかる費用ですが、移動の目的が明確に異なります。

交通費とは

交通費とは、顧客先に営業で向かったり出張など、業務の際に発生した飛行機や電車、バス、タクシー代などの移動費のことです。旅費交通費の場合には、宿泊代や日当(宿泊手当)も含まれます。交通費も労働基準法などの法律に定められていませんが、業務上必要な費用のため、ほとんどの企業で支給されています。

交通費に該当するものとしては、電車やバス、タクシー代、駐車場料金、高速道路などの有料道路の料金があります。

所得税における通勤手当の課税ルール・非課税ルール

通勤手当の支給に対する所得税の課税・非課税のルールは少し複雑です。わかりやすく解説します。

手当は所得税の課税対象

企業が従業員に対して手当として支給するものは、給与所得の一部とみなされるため、基本的には所得税の課税対象となります。所得税の課税対象となる手当には、住居手当、残業手当、扶養手当、資格手当、役職手当などがあります。

一方で、通勤手当(一定額まで)や旅費、海外渡航費、社宅などは実費を補填する目的とするものは非課税の対象です。

課税 基本給、残業手当、休日出勤手当、役職手当、住宅手当、家族手当、退職手当など
非課税 通勤手当(一定額まで)、旅費、海外渡航費、社宅、技術習得費用など

通勤手当の非課税限度額

通勤手当が非課税とされる限度額は、通勤手段によって異なります。

自家用車や自転車通勤者の通勤手当
自家用車や自転車などを使用して通勤している人が、非課税になる1か月当たりの限度額は、片道の通勤距離に応じて定められています。

片道の通勤距離 1か月の非課税限度額
2キロメートル未満 全額課税対象
2キロメートル以上10キロメートル未満 4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満 7,100円
15キロメートル以上25キロメートル未満 12,900円
25キロメートル以上35キロメートル未満 18,700円
35キロメートル以上45キロメートル未満 24,400円
45キロメートル以上55キロメートル未満 28,000円
55キロメートル以上 31,600円

表に記載された「1か月当たりの非課税限度額」を超えて通勤手当を支給した場合には、超えた部分の金額が給与として課税対象となります。

>電車・バス通勤者の通勤手当
電車やバスなど公共交通機関だけを利用して通勤している場合に、非課税の限度額は、通勤のための運賃や時間、距離などの事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路と方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額となります。

特急列車や新幹線を利用した場合も、その通勤経路や方法が最も経済的かつ合理的である場合には、所得税は非課税となります。しかし、グリーン車の料金は最も経済的かつ合理的とは認められないため非課税の対象とはなりません。

最も経済的かつ合理的な通勤手当の金額が、1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が非課税の限度額です。

>電車やバスと併せて自家用車や自転車も使って通勤している場合
電車やバスなど公共交通機関と併せて自家用車や自転車使って通勤している場合には、「電車やバスなど公共交通機関の1か月間の通勤定期券などの金額」と「自家用車や自転車で通勤する際の1か月当たりの非課税となる限度額」を合計した金額が15万円までは非課税限度額です。

限度額を超えて通勤手当を支給する場合には、超える部分が給与として課税されます。

アルバイトやパートの非課税限度額の計算方法

正社員以外のアルバイトやパートなど、短期雇用社員に通勤手当を支給する場合の非課税限度額については月単位にして計算します。

参考:国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」

参考:国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」

同じ移動手段でも目的によって勘定科目が異なる

同じ場所に同じ手段で移動しても、移動の目的が変われば経理処理する際の勘定科目が異なります。経理事務の仕事を探している方もいらっしゃるかもしれないので、参考までにご紹介します。

・不特定多数の一般消費者を招待するための旅費:広告宣伝費
・業界団体など親睦が目的の集まりに参加するための旅費や交際費:交際費
・取引先の顧客を接待する際のタクシー代:交際費
・社員旅行:福利厚生費
・研修や講習のための交通費や宿泊費:教育研修費

通勤手当を申請する際に気を付ける点

通勤手当を不正に受け取った場合には、返還を求められるばかりか、最悪の場合には懲戒解雇となることもあるので申請の際には注意が必要です。

規定外の経路で通勤手当の申請をしている

通勤手当の金額は、会社が決める場合と従業員が自宅から会社まで通勤する際の、方法や距離によって支払われる場合の2つのパターンがあります。後者の場合には、最も経済的で合理的な方法での経路で申請しなければなりません。

個人の判断で、経済的ではない経路で申請したり、実際の通勤とは違う経路で申請した場合には不正受給とみなされる可能性があります。特に、公共交通機関を使用するとして通勤手当を受け取りながら、徒歩や自転車で通勤することは不正受給となりますので、絶対にやめましょう。

通勤経路や手段が変わった時の申請忘れ

通勤手当の申請は、引っ越しなどで通勤経路や手段が変わった場合には、変更の申請を出さなければなりません。変更を行わなければ、以前の申請のまま通勤手当が支給されます。少ない分には社員が損をするだけですが、多く受け取った場合には不正受給とみなされるケースがあります。

通勤手当を不正受給した場合の処分

通勤手当を不正に受給したことが発覚した場合には、会社から相応の処分を受けることになります。処分の内容は、不正受給が故意によるものか、不注意だったのかによって異なります。

故意ではなく不注意により不正受給してしまった場合には、注意や訓告、多く受け取った分の通勤手当の返還で済むこともあります。しかし、故意で長期間に渡って不正受給をしていた場合には、懲戒解雇処分や損害賠償を求められることもあります。

まとめ

通勤手当は法律で支給することが定められた手当ではありませんが、多くの会社で支給されています。しかし、その内容や支給額は会社によってそれぞれ違うので、求人を探す際にはしっかりとチェックすることが必要です。

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