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2022.06.09

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業務委託で働くことのメリット・デメリット

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最近では会社員として企業に勤める他にも働き方が多様化して、業務委託を受けて働く機会が増えています。業務委託とは、どのような働き方なのでしょうか。業務委託契約と雇用契約の違いや、メリットとデメリットについて解説します。

1.業務委託とはどんな働き方?

業務委託とは、企業が自社の業務を他の会社や個人事業主、フリーランスといった外部に委託することです。委託された側は、自分の裁量で業務を遂行します。特に、エンジニアやデザイナー、ライターなどクリエイティブな仕事をしているフリーランスは、クライアントと業務委託契約を結んで、仕事を受注し働くケースが多くなっています。

業務委託契約は、実際にビジネスで良く使われている言葉ですが、根拠となる法律はありません。法律で規定されている働き方は、「雇用」「請負」「委任」の3種類で、一般的に業務委託契約と呼ばれるのは、請負契約と委任契約を指します。

請負契約とは

請負契約とは、請負人が仕事を完成させることを約束して、その結果に対して報酬が支払われる契約です。請負人には、依頼された仕事を完成させる義務があります。

請負った仕事を約束の納期まで完成できなかったり、依頼主の要求するレベルに仕上げられなかった場合には報酬は支払われません。また約束の期日までに仕事が完成しない時には、依頼主は債務不履行を理由に契約を解除できます。

請負人には仕事に対する担保責任があり、納品した後にミスや欠陥などの瑕疵がある場合には、依頼主は請負人に対して修繕を請求したり、損害賠償を請求できます。

委任契約(準委任契約)とは

委任契約は、民法第643条で「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じる契約」と定められています。この委任契約と民法上で同じルールが適用されるものに「準委任契約」があります。

委任契約と準委任契約の違いは、委任契約は法律行為の契約であるのに対して、準委任契約は事実行為(事務処理など)を委託する契約です。

請負契約との違いは、請負契約が仕事の完成が目的となっているのに対して、委任契約は仕事の完成に関係なく、委任された行為を行えば契約の完了となります。

2.「業務委託契約」と「雇用契約」の違いとは?

雇用契約とは、民法第632条で「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」と定義された契約です。業務委託契約と雇用契約の違いは次の通りです。

使用従属性の有無

労働基準法における労働者とは、使用者である企業に使用されて、労務に対して賃金が支払われる人のことを指します。つまり「使用」されていることと「賃金」の支払いが基準となります。この2つの基準は「使用従属性」と呼ばれます。

使用従属性があれば雇用契約、なければ業務委託契約と判断できます。業務委託契約は、使用者と労働者との使用専従性ではなく、事業者と事業者の間または事業者と個人の間の契約ということになります。使用されているかどうかは、次の要素が考慮されます。

①仕事に対する諾否
仕事の依頼に対して受ける受けないを自由に決めることができる場合には、一般的な使用関係ではないと考えられます。

②指揮監督
命令や指示、指揮を受けずに自由に業務が遂行できる場合には、使用関係は薄いと考えられます。

③就業場所や時間の拘束
②と同様に、就業場所や就業時間の拘束を受けずに業務が遂行できる場合には、使用関係は薄いと考えられます。

労働法の適用

業務委託契約と雇用契約の違いは、雇用契約は企業に雇用されるのに対して、業務委託契約には、企業との雇用関係が無いことです。企業と雇用契約を結ぶと、「労働基準法」や「労働関係調整法」「労働組合法」の労働三法と呼ばれる法律の他に、「最低賃金法」「労働契約法」「労働者派遣法」「男女機会均等法」などの労働法が適用されます。

雇用契約の場合、労働者は上記のようなさまざま労働法によって守られています。しかし、その代わりに、雇用されている企業のルールや指示に従って働かなければなりません。本来は使用者と労働者は対等の立場でなければなりませんが、どうしても使用者の方が力関係において強くなります。

一方で、業務委託契約で働く場合には、業務の委託を受けた企業に雇用されているわけではないため、労働法は適用されません。また企業から細かい指示を受けることもありません。期限までに契約した業務を遂行すれば報酬が支払われます。

3.業務委託で働くメリット

業務委託契約での働き方には、メリットもデメリットもあります。まずはメリットについて解説します。

自分のやりたい仕事が選べる

雇用契約で会社員として働く場合には、会社や上司の指示で仕事が割り振られます。その結果、自分が得意としていない仕事や望まない業務も遂行しなければなりません。

しかし、業務委託の場合には、その仕事を引き受けるかどうかは自分の判断で決めることができます。業務委託では望まない仕事は断って、自分が得意な仕事や、やりたい仕事を選んで働くことができます。

成果によっては高収入が得られる

雇用契約の場合にはインセンティブ制度などが無い限り、報酬は一定額に定められています。しかし業務委託では、業務内容や成果によって報酬が得られるため、スキル次第では高収入が得られる可能性があります。特に委任契約では、専門の技術や知識が求められる業務で契約されることが多く、高収入が期待できます。

ストレスの少ない生活が送れる

雇用契約で会社員として働く人の中には、職場の人間関係や満員電車での毎朝の通勤などにストレスを感じている方も少なくないのではないでしょうか。

業務委託の場合にも、仕事を依頼するクライアントがいるため人間関係が皆無ではありませんが、嫌な場合には引き受けない選択もできるため、会社員ほど人間関係のストレスを感じることはありません。また、業務内容によっては依頼先の企業に出勤する必要がないため、通勤のストレスもありません。

ワークライフバランスを実現しやすい

業務委託のメリットには、自分で仕事を選択できると同時に、働く場所や時間を制限されないこともあげられます。また、約束した期限内に業務を完了できれば、いつ休みを取っても問題がありません。

業務委託は場所や時間に縛られずに働くことができるので、仕事と趣味や学習、地域活動、休養、育児や介護などとのバランスを取り、両立させるワークライフバランスを実現しやすいと言えます。

定年退職がないのでずっと働ける

高齢者雇用対策法によって、60歳未満の定年禁止や70歳までの就業機会の確保の努力義務が企業に求められていますが、年金の支給年齢引き上げや受給金額引き下げなど、老後を考えると先行きは不安です。業務委託は定年退職がないため、本人に働く意欲とスキルがあれば、年齢に関係なく仕事を続けることができます。

4.業務委託で働くデメリット

前章で紹介した通り、業務委託契約での働き方には、雇用契約にはないさまざまメリットがありますが、一方でデメリットがないわけではありません。

収入の変動が大きい

雇用契約の会社員であれば、毎月ほぼ決まった金額の収入を得ることができます。しかし、業務委託の場合には、業務委託の依頼を受けて仕事をすることで報酬が得られます。そのため、月によって収入の変動が大きかったり、仕事が途切れてしまう可能性もあります。

また、自身の病気やケガ、災害や事故などの何らかのトラブルで仕事ができない状況になった場合には、収入が大きく減少する可能性があります。成果によって高収入が得られる反面、収入が下がるリスクもあります。

税金の手続きなど自分でする必要がある

雇用契約で会社員として働く場合には、税金や社会保険などの手続きは、基本的に会社が行ってくれます。しかし、業務委託契約で働く場合には、確定申告や税金、保険料の支払いは自分でしなければなりません。

労働法よる保護がない

雇用契約で働く労働者は、労働法による保護の対象ですが、業務委託で働く場合には労働法は適用されません。業務委託は、場所や時間を制限されずに働くことができる反面、1日8時間、週40時間といった法定労働時間の制約がなく、残業や休日勤務の概念がありません。

また、突然契約が終了したり、受注できなかったりして仕事が全くなくなっても、会社員の失業手当のようないざという時の保証がありません。

まとめ

最近では、働き方の多様化に伴って業務委託を受けて仕事をするフリーランスが増えています。業務委託の働き方は、会社に縛られず自由に働けるなどさまざまメリットがある一方でデメリットもあります。業務委託で働くことを考えている人は、メリットとデメリットをよく理解しておくことが大切です。

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