従業員が新型コロナに感染したら…企業がとるべき対応
2020年から感染が拡大した新型コロナウイルス感染症。現在ワクチンの接種が進められていますが、より感染力が強い株が発見されるなど、どんなに感染予防をしていてもいつ感染するかわかりません。
もし従業員が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、企業はどのような対応をとる必要があるのでしょうか。職場クラスターを防ぐためにも、事前に理解しておく必要があります。
この記事の目次
1.濃厚接触者・感染者への対応
従業員が、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者や感染者と判断された場合、従業員が住んでいる地域の保健所の指示に従う必要があります。まずは、職場でのクラスター発生を防ぐため、該当する従業員を出社させないよう指示しましょう。
従業員が感染した時の対応
従業員が感染者となった場合には、保健所の指示に従って出社停止の上、入院または自宅療養となります。なお、退院までの目安となる日数については、厚生労働省が各都道府県や保健所設置市、特別区の衛生主管部（局）長あてに出した事務連絡「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて（一部改正）」に、下記のように記載されています。
※仕事復帰は、退院による就業制限解除後は可能となります。
※原則として次の①に 該当する場合とする。ただし、次の②に該当する場合も差し支えないこととする。
① 発症日から 10 日間経過し、かつ、症状軽快後 72 時間経過した場合
② 発症日から 10 日間経過以前に症状軽快した場合に、症状軽快後 24 時間経過した後に核酸増幅法又は抗原定量検査（以下「核酸増幅法等」という。）の検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した 24 時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合
参考：厚生労働省「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて（一部改正）」
保健所が行う調査で、従業員が濃厚接触者と判断された場合には、保健所の指示に従って感染予防の措置を講じなければなりません。また、保健所から14日間の健康観察が求められます。
なお企業が独自に従業員に自宅待機などを命じる場合には、労働基準法や労働安全衛生法、就業規則などに基づいた対応が必要となります。
2.社内でとるべき対応
従業員に感染者が出た場合には、保健所の指示に従って対応します。
濃厚接触者や接触者のリストアップ
感染者が出た場合、社内でとるべき対応として一番最初にしなければならないことは、感染した社員と濃厚接触がある人とそれ以外の接触がある人をリストアップすることです。濃厚接触者か否かは保健所が判断します。
濃厚接触者や接触者の健康観察
濃厚接触者は、保健所の指示でPCR検査を受けます。検査の結果が陰性であったとしても、感染者に接触した最終日から14日間は健康観察を行う必要があります。
濃厚接触者は、健康観察の期間は出社させずに、1日1回は電話やメールなどで発熱や呼吸器の症状がないか確認します。接触者には、業務開始前に発熱や呼吸器の症状がないか確認します。
事務所の消毒
感染した社員が触れた可能性がある場所を消毒します。消毒の方法は保健所がアドバイスしてくれますが、以下の手順で行います。
3.社内外への通知もきちんと
社内に感染者や濃厚接触者が出た場合には、職場クラスターの発生を防ぐために、社内と社外への周知・連絡を行う必要があります。
前章で説明した通り、従業員に感染者が出た場合には、感染者と濃厚接触がある社員と接触がある社員をリストアップしなければなりません。この際、感染者と接触があったかどうかを社員にヒアリングしなければなりませんが、濃厚接触者や接触者となった場合、どのように扱われるのかがわからないと不安を感じるものです。そのため、出社停止となる可能性やその期間について伝えておきましょう。
また、社外への連絡も必要となるケースがあります。感染者や濃厚接触者の社員が応対したまたは訪問した企業で接触の可能性がある場合には、すぐに連絡しなければなりません。併せて、従業員が出社できないことで影響がでる取引先にも連絡が必要です。
まとめ
今回は、従業員に新型コロナウイルス感染症の感染者が出た場合に、企業がとらなければならない対応について解説しました。職場でクラスターが発生すると、最悪の場合には事業や営業活動を停止しなければならず、大きな経営リスクとなります。感染者が出た場合には、保健所の指示に従って速やかに対応することが大切です。
