採用

2023.02.10

+PICK

【変形労働時間制】効果的な求人票の書き方とは

BaseUpp

変形労働時間制は、繫忙期と閑散期で業務量に大きな差があるような場合、一定の期間内で労働時間を調整できる制度です。従業員一人ひとりの希望や事情に合わせて多様な働き方を選べる社会の実現を目指して、政府が進める「働き方改革」の解決策として注目されています。

一方で、繁忙期と閑散期では労働時間が異なるため、求人票の勤務時間や休日の欄には、求職者にわかりやすく記載する必要があります。

本記事では、変形労働時間制の概要とフレックスタイム制やシフト制との違い、変形労働時間制を求人票に書く際のポイントや注意点などについて解説します。

変形労働時間制とは

変形労働時間制とは、労働時間を1日単位ではなく、週単位・月単位・年単位で柔軟に調整できる制度です。この制度を導入すると企業には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

変形労働時間制とは

通常、就業規則や雇用契約書に明記される「所定労働時間」。1日8時間まで週40時間までと労働基準法という法律で定められていて、これを超えることは原則できません。所定労働時間を超えた分は、いわゆる時間外労働となり企業は労働者に残業代を支払わなければなりません。

「変形労働時間制」とは、繫忙期と閑散期の差が大きい業種で、業務が多忙な時期には10時間働く、それ以外の時期は6時間だけ働くというような柔軟な働き方ができる制度です。

変形労働時間制には、どの範囲で労働時間を調整するかによって「1年単位」「1か月単位」「1週間単位」の3つの種類があります。

例えば1年単位の変形労働時間制であれば、1か月以上1年以内の一定期間において、1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲で労働時間を調整することができます。

変形労働時間制のメリットとデメリット

変形労働時間制を導入した場合、企業には次にあげるようなメリットとデメリットがあります。

●変形労働時間制を導入するメリット
変形労働時間制を導入すると、繫忙期と閑散期に合わせて労働時間を調整できるため、残業代を削減することができます。また、忙しくない時期には従業員を早く帰らせて負担を軽減することで、ワークライフバランスの実現を目指すことができます。

●変形労働時間制を導入するデメリット
変形労働時間制は、勤怠管理や給与計算が煩雑になるため、手間や時間がかかるのが大きなデメリットです。また、就業規則に記載することが必要なため、労使協定や就業規則の見直しも行わなければなりません。

フレックスタイム制度やシフト制との違いとは?

労働時間を変更できるという点で、変形労働時間制と混同されがちなのが「フレックスタイム制」と「シフト制」の2つの制度です。それぞれの特徴について解説します。

フレックスタイム制と変形労働時間制の違い

フレックスタイム制とは、一定の期間内で定められた総労働時間の範囲の中で、労働者が自ら始業時間や終業時間、労働時間を決めることができる制度です。例えば、1か月の労働時間が160時間と決められている場合には、月曜日は10時間、火曜日は5時間というように、自分で勤務時間を自由に決められるということです。

ただし、「コアタイム」が設定されている場合には、その時間は必ず出勤しなければなりません。コアタイムの目的は、労働者間のコミュニケーションや情報共有です。コアタイムの時間帯や長さは企業によってさまざまで、コアタイムが設定されていない企業もあります。

フレックスタイム制は、1日の始業時間や終業時間、1日の労働時間を労働者自身が決めることができますが、変形労働時間制は、企業側が年や月単位で1日の労働時間を調整するので、労働者は決められません。

また、変形労働時間制が主に時間外労働や残業代の削減を目的としているのに対して、フレックスタイムは、従業員のワークライフバランスに配慮して、柔軟な働き方ができることを目的として導入されます。

シフト制と変形労働時間制の違い

シフト制とは、1週間や1か月など一定期間ごとに作成される勤務シフトで、労働日や労働時間が確定される勤務形態です。主に医療機関や介護福祉関係、工場、コンビニなど稼働時間が長い業種や職種で採用されています。シフト制には、「完全シフト制」「固定シフト制」「自由シフト制」の3つの種類があります。

「完全シフト制」は、いくつかのシフトのパターンが決められていて、その中のどのシフトに入るかで出勤する曜日や時間が決まります。早番と遅番の2交代制や日勤・夕勤・夜勤の3交代制などがあります。

「固定シフト制」は、勤務する曜日や時間が決まっているシフト制です。たとえば月曜から水曜の15時から22時まで働くと決まったら、毎週同じ曜日の同じ時間に働きます。

「自由シフト制」は、曜日や時間が固定されておらず、月や週ごとに従業員が働きたい日と時間を勤務先に申告する制度です。勤務先が各従業員のシフトを調整して、最終的に決定します。

これまで説明してきた通り、変形労働時間制は繫忙期と閑散期に合わせて労働時間を調整できる制度です。一方で、シフト制は曜日や時間によって従業員が交代する働き方です。

「変形労働時間制」の求人票の書き方・注意点

変形労働時間制を導入した企業は、求人票を提出する際に、勤務時間や休日について求職者にわかりやすく記載する必要があります。書き方と注意点についてハローワークの求人票を例に説明します。

就業時間

求人票の就業時間の欄には、「*就業時間で該当する場合は選択」で「4.変形労働時間制」を選んで、「1ヶ月単位」「1年単位」「1週間単位非定型的」のいずれかを選択します。また、始業時刻と終業時刻を「就業時間に関する特記事項」に記入します。

特記事項の記載例をあげると、1年単位の変形労働時間制の場合には、「変形労働時間制により所定の始業終業時間は業務繁忙期の〇月~〇月は〇時~〇時、〇月~〇月は〇時~〇時、所定休日は年間カレンダーで指定」という具合です。

休日

1年単位の変形労働時間制では、年間休日が最低85日必要です。求人票には85日以上で正しい休日を記載する必要があります。求人票に85日と記載して、実態として満たない場合には処罰される可能性があります。

面談時に口頭で説明することも必要

求人票にわかりやすく記載しても、すべての求職者が変形労働時間制について理解しているとは限りません。理解不足や誤解が原因で入社後にすぐに離職するような事態を避けるためにも、面談時に口頭でも説明して、応募者が正しく理解できているか確認しましょう。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人申込書の書き方」

従業員に変形労働時間制について正しく伝えよう

従業員にとっても変形労働時間制は、閑散期には「無駄な拘束時間を減らし負担を減らせる」「家族と過ごす時間や趣味の時間が多く取れる」などのメリットがあります。一方で、長時間働いたのに、思ったより残業代が少ないと不満に感じるケースがあります。

変形労働時間制の残業時間は、事前に決められた所定労働時間を超えて働いたかどうかが判断基準となります。例えば、繁忙期の所定労働時間が10時間と設定されている場合には、8時間を超えても10時間を超えなければ残業代が支給されません。

これまで通常の労働時間制で働いていた人は、繫忙期に支払われていた残業代が少なくなるため収入が減少します。不要なトラブルを避けるためも、従業員に残業時間算出のルールや変形労働時間制のメリットについてしっかりと説明しましょう。

前章で説明した通り、求人票の勤務時間や休日の欄に、誤解を生まないように変形労働時間制について正確に記載する必要があります。また、在籍している従業員にも変形労働時間制について正しく理解してもらえるように説明することが重要です。

変形労働時間制の制度について、正しく理解してもらうことで、従業員が安心して働くことができ定着率の向上につながります。

まとめ

変形労働時間制は、企業と従業員それぞれにメリットがある制度です。企業にとっては残業時間の削減効果、従業員にとっては柔軟な働き方が可能になることでワークライフバランスの実現が期待できます。

しかし、繁忙期に長く働いたのに残業代が少ないと、不満に思われてしまうケースがあります。変形労働時間制は、繫忙期と閑散期で所定労働時間が異なるため、時間外労働の計算で誤解を生むことがあります。

求人票には、始業時間や終業時間、休日についてわかりやすく記載するとともに、現在働いている従業員にもしっかりと説明することが大切です。

求人を募集する

BaseUpp