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2022.01.12

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【人生100年時代】シニア人材の雇用・活用課題とは

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少子高齢化社会による労働人口の減少や、年金制度改定による支給年齢引き上げなどさまざまな要因から、政府は高年齢労働者(シニア人材)の雇用と活用について、いろいろな政策を打ち出しています。シニア人材を活用することは、企業にとっても重要な課題です。この記事では、シニア人材活用の必要性や活用のメリットと課題について解説します。

人生100年時代とは?

最近、テレビや新聞のニュースで、「人生100年時代」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。
ところで、人生100年時代とはどのような時代なのでしょうか。

日本人の平均寿命

厚生労働省の発表によると、2020年の日本人の平均寿命は、女性が87.74歳、男性が81.64歳で、女性が8年連続、男性が9年連続で過去最高を更新しました。この結果、女性が世界第1位で男性は世界第2位となっています。平均寿命とは、その年に生まれた人が平均で何歳まで生きるかを予測した数値です。

また、住民基本台帳に基づく100歳以上の高齢者は、2021年9月1日時点で前年より6060人増加して、8万6510人となっています。100歳以上の高齢者の増加は51年連続です。
このペースで平均寿命が伸び続けると、近い将来には100歳を超えるまで生きる人が珍しくはなくなりそうです。実際に、海外の研究では、2007年に日本で誕生した子どもの半数が、107歳より長生きすると推計されています。

人生100年時代とは?

「人生100年時代」は、イギリスのロンドン・ビジネス・スクールの教授である”リンダ・グラットン”の著書「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略」で提唱された言葉です。 本では寿命が長期化することによって先進国で2007年生まれの2人に1人が103歳まで生きる「人生100年時代」が到来するとして、100年間生きることを前提とした人生設計が必要であると書かれています。

人生100時代を見据えた日本政府の対応

2017(平成29)年日本政府は、「人生100年時代」を見据えた経済社会システムを創り上げるための政策を検討する会議として、「人生100年時代構想会議」を設置して、これまで9回にわたって議論を行っています。

2018(平成30)年には、幼児教育の無償化、高等教育の無償化、大学改革、リカレント教育、高齢者雇用の促進からなる「人づくり革命基本構想」が発表されました。高齢者雇用の促進では、「65歳以上の継続雇用年齢の引き上げに向けた環境整備」「高齢者雇用促進策」などがまとめられています。

シニア人材活用の必要性

少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少が大きな課題となっています。政府がまとめた「人づくり革命基本構想」の中にも、高齢者の雇用促進が入っていますが、企業は人材不足への対応として、今後シニア世代の活用を進めていく必要があります。

シニア世代の就業者数

ところで高齢者やシニアとは、何歳からを言うのでしょうか。国連では「シニア」は60歳以上、WHO(世界保険機構)では65歳以上としていて明確な定義はないようです。また、日本の統計調査では65歳以上となっています。

総務省統計局が発表する「労働力調査」によると、65歳以上の就業者数は2020年で906万人で、10年前の2010年の570万人から、336万人も増えています。また2020年の就業者の総数は6676万人であったので、65歳以上は全体の約13.5%、55歳~64歳を合わせると約31.1%と、すでに3人に1人が55歳以上の労働者となっています。

参考:労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の概要


「働けるうちはいつまでも」働きたい高齢者が約4割

内閣府が発表した「令和3年版高齢社会白書」によると、現在仕事をしている60歳以上の方の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています。また、70歳くらいまでとそれ以上までの回答を合わせると、約9割の高齢者が働き続けたいと思っていることがわかりました。

参考:令和3年版高齢社会白書(全体版)


70歳までの就労機会確保が努力義務に

2021(令和3)年4月1日に施行された「改正高年齢者雇用安定法」では、65歳までの雇用確保の義務と、65歳から70歳までの就業機会を確保措置を講じる努力義務が定められました。
対象となる措置は次の5つです。

①70歳までの定年引き上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度、勤務延長制度)の導入
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
  a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
  b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

参考:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要」

シニア人材活用のメリットと課題

前章では、シニア人材活用の必要性について解説しましたが、シニア人材活用にはどのようなメリットと課題があるのでしょうか。

シニア人材活用のメリット

シニア人材の活用には次のようなメリットがあります。

①人材不足解消
今後ますます少子高齢化による労働人口減少は加速し、人材確保は企業の重要な経営課題となります。そのような環境の中で、不足している労働力を労働意欲のある元気な高齢者で補うことは不可欠です。また、自社で長年勤務しているシニア人材であれば、そのまま同じ仕事を続けてもらえるため、育成コストがかかりません。

②スキルや知識の活用
シニア人材が豊富な経験で身につけたスキルや知識、ノウハウ、人脈を活用して、若手社員への教育や指導を通じて継承できれば企業の競争力アップにつながります。また、シニア人材は、一般的に会社への忠誠心が高く、勤務態度がまじめで礼儀正しい人が多いため、若手社員の手本になります。

③シニアならではの視点を商品やサービスに取り入れることができる
現代では、お客様の多くもシニア世代です。シニア人材の価値観やアイデアを商品やサービスに上手く取り入れることで、新しいビジネスモデルが生まれる可能性もあります。

④国からの助成金や税制上の優遇を受けることができる
企業が高年齢者雇用の環境を整備したり、雇用することで国からの助成金や税制上の優遇を受けられる可能性があります。詳しい制度については、近くの労働局やハローワークなどに問い合わせてみましょう。

シニア人材活用の課題

シニア人材の活用には、上記のようなさまざまなメリットがありますが、気をつけることが必要な点もいくつかあります。

①健康面や体力面での不安
個人差はありますが、シニア人材は健康面や体力面で、若い社員と比較するとどうしても不安があります。身体的に負担の大きな仕事は避けるなど、業務の負荷が大きくなり過ぎないような配慮が必要です。また急な体調不良や通院なども考えられるため、労働時間や休日など柔軟に対応できるように、働き方を見直すことが必要となります。

②ITや新しい技術への対応
最近ではスマートフォンを持つシニア世代も増えてきましたが、中にはアナログな人もいてパソコンが全く使えないというケースもあります。そのため、業務内容や配属する部署によっては仕事がスムーズに行えない可能性があります。

③柔軟性にかける
これまで積み重ねてきた経験や知識に固執するあまり、柔軟な発想ができずに仕事を進めてしまうと、企業が求めることと違った方向の結果となってしまう可能性があります。また、年下の社員が上司になった場合など、なかには新しい環境を受け入れることが難しい方もいます。

まとめ

「改正高年齢者雇用安定法」が、2021(令和3)年4月1日から施行され、企業には65歳までの雇用確保の義務と、65歳から70歳までの就業機会を確保措置を講じる努力義務が定められました。法律面だけでなく、労働人口減少による人手不足に対応するためにも、企業はシニア人材を活用することが必要です。シニア人材活用のメリットや課題を把握して、早急にシニア人材を活用できる環境を整備しましょう。

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