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2021.11.22

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紹介予定派遣と派遣の違い【求職者向け】

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派遣社員として働いている方の中には、できれば正社員になって安定した働き方をしたいと思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。紹介予定派遣は、派遣期間が終わった後に正社員として雇用される可能性がある派遣の働き方です。では通常の派遣と紹介予定派遣には、どのような違いがあるのでしょうか。メリットやデメリットも含めて紹介します。

紹介予定派遣と派遣の違い

紹介予定派遣は、人材派遣のシステムのひとつですが、通常の派遣とは異なる点が多くあります。

紹介予定派遣とは

紹介予定派遣は、派遣先の企業に直接雇用されることを前提とした人材派遣の仕組みです。派遣期間(最長で6カ月間)の終了後に、派遣先企業と派遣スタッフの双方が合意した場合には、直接雇用となってそのまま働きます。

紹介予定派遣と派遣の違い

紹介予定派遣と通常の派遣では、派遣される期間や派遣される際のルールなど、さまざまな違いがあります。

■派遣終了後に直接雇用となることを前提としている
前述したように、紹介予定派遣は派遣期間の終了後に、派遣先企業に直接雇用されることを前提としています。

■事前の書類選考や面接が認められている
通常の派遣では、派遣前に派遣先企業と派遣スタッフが事前に面談することが禁止されています。一方で、紹介予定派遣の場合には、派遣期間終了後の直接雇用が前提のため、事前の書類選考や面接が認められています。そのため、事前の審査で派遣先企業から断られることもあります。

■派遣期間が違う
労働者派遣法によって、通常の派遣の場合には同一の派遣先企業、同一の部署で勤務できるのは、原則として最長3年と定められています。紹介予定派遣は、派遣期間終了後の直接雇用が前提となっているため、派遣期間は最長でも6カ月です。

紹介予定派遣から正社員になれる比率

紹介予定派遣の派遣期間が終了して、直接雇用となるには派遣先企業と派遣スタッフ双方の合意が必要です。そのため、必ずしも直接雇用となれるわけではありません。
厚生労働省が調査・公表している「令和元年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、「紹介予定派遣により労働者派遣 された労働者数」は31,233人で、そのうち「紹介予定派遣で職業紹介を経て直接雇用に結びついた労働者数」は16,323人で、直接雇用となった割合は約52.3%でした。

参考:厚生労働省「令和元年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」

紹介予定派遣で働くメリット

紹介予定派遣は、直接雇用が前提であるということが一番のメリットですが、他にも次にあげるようなメリットがあります。

①派遣会社のアドバイスを受けて企業選びができる
自分自身で就職活動を行う場合には、企業研究や業界研究、給与や待遇などの条件、必要とされる経験やスキル、職場の雰囲気など、すべて自分で調べて応募する企業を選ばなければなりません。一方で、紹介予定派遣の場合には、派遣会社が派遣先の企業について詳しく知っているため、派遣会社と相談しながら応募企業を選ぶことができます。

正社員での転職を希望している方の中には、自分にどんな仕事が合っているのかわからない、どのように転職活動を進めたらよいのかわからないという人もいらっしゃるのではないでしょうか。紹介予定派遣の場合には、派遣会社からのいろいろなアドバイスを受けられるため、自分に合った企業や職種を選びやすくなります。また、事前の面接や履歴書など応募書類の書き方などについてもアドバイスが受けられます。

②派遣期間中に会社について知ることができる
職場の雰囲気や業務内容などは、実際に働いてみないとわからないものです。入社前に思い描いたイメージと、大きく違っていた場合には早期離職になってしまうケースもあります。
紹介予定派遣の場合には、派遣期間中に職場の雰囲気が自分に合っているかや、自分が持っているスキルや知識で業務の遂行ができるかなどを確認してから、雇用契約を結ぶことができます。そのため入社後のミスマッチを防ぐことができます。また、自分の希望と合わず直接雇用を断ったとしても、派遣会社が次の紹介予定派遣の企業を探してくれます。

③未経験の職種や異業種にもチャレンジできる
一般的に、中途採用で入社する場合には、即戦力として期待されるため業務を遂行するために必要な経験やスキルが求められます。しかし、紹介予定派遣の場合には、直接雇用まで最長で6カ月間の派遣期間があるため、まずは「適性を見て判断しよう」と、採用になるケースがあります。事前に派遣会社で研修が行われる場合もあり、未経験の職種や異業種からの転職でも、夢だった仕事にチャレンジできるチャンスが広がります。

④派遣会社が調整や交渉をしてくれる
就職先の企業を選ぶ際には、収入や休日などの待遇も重要なポイントです。しかし、自分自身で就職活動を行っている場合、なかなか企業の担当者に聞きにくいものです。面接で、待遇面の質問ばかりすると、「この応募者は給与など条件だけを重視する人だ。他に良い条件の求人があれば、すぐに転職してしまう可能性がある」と採用担当者からマイナスのイメージを持たれる可能性があります。

紹介予定派遣の場合には、派遣期間中の就業や直接雇用の契約の際にも、派遣会社が間に入ってフォローしてくれます。自分で企業と労働条件や待遇などの確認や交渉を行うよりも安心です。

紹介予定派遣で働くデメリット

前章でご紹介した通り、紹介予定派遣にはさまざまなメリットがありますが、一方で次に紹介するようなデメリットもあるので理解しておくことが必要です。

①応募企業の選択肢が狭まる
自分自身で転職活動を行う場合には、基本的にどの企業の求人にも応募することができます。しかし、紹介予定派遣の場合には、派遣会社とつながりがある企業の求人にしか応募することはできません。
また、そもそも紹介予定派遣での求人数が少ないため、応募できる企業の選択肢が狭くなってしまいます。2014年度に37,910人だった紹介予定派遣による派遣労働者の人数は、2019年度には31,233人となっており減少傾向にあり、今後も求人は少なくなる可能性があります。

②必ず直接雇用されるわけではない
紹介予定派遣は直接雇用を前提とした派遣ですが、直接雇用には派遣先企業と派遣スタッフ双方の合意が必要なため、必ずしも直接雇用されるわけではありません。前述の通り、直接雇用となるのは紹介予定派遣で働いた方の約半分です。
残りの半分の方は、直接雇用とはならず、派遣会社から新たな派遣先を紹介してもらうか、自分で直接雇用してくれる企業の求人を探さなければなりません。

③直接雇用されるまでの期間が長い
自身で就職活動を行う場合には、早ければ2~3か月で企業からの内定を獲得できるケースもあります。しかし、紹介予定派遣では、最長6カ月の派遣期間が終わってからの直接雇用となります。
また、紹介予定派遣では、有給休暇が付与されるのが遅くなります。通常、有給休暇の付与条件は「働き始めてから6カ月以上継続して働いた時点」かつ「その期間の8割以上勤務」です。紹介予定派遣の場合には、派遣期間中は派遣会社が雇用主です。そのため、直接雇用となってから6か月後になって、やっと有給休暇が付与されます。ただし、企業によっては直接雇用になったタイミングで有給休暇を取得できる場合もあるので、派遣会社に確認しましょう。

④直接雇用=正社員ではない
直接雇用と言っても、必ず正社員で雇用されるとは限りません。契約社員での雇用のケースもあります。契約社員での雇用の場合には、派遣社員の時より給与が減る可能性もあります。
紹介予定派遣に応募する際には、派遣期間後の直接雇用は正社員なのか契約社員なのか、事前に派遣会社に確認しておきましょう。

まとめ

安定的な働き方を目指す人にとって、直接雇用を前提とした紹介予定派遣は、派遣期間中に職場の雰囲気や業務内容を把握でき入社後のミスマッチを防ぐことができる、未経験や異業種の職種にもチャレンジできるなど、たくさんのメリットがあります。
一方で、派遣期間が終了しても企業が直接雇用を望まない可能性があることや、直接雇用となっても正社員ではなく契約社員のケースもあるなどのデメリットもあります。紹介予定派遣に応募する際には、これらのメリットとデメリットについてよく理解しておきましょう。

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