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2021.10.25

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紹介予定派遣のメリット・デメリット【採用担当者向け】

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「紹介予定派遣」という、通常の派遣とは違う派遣の方法があります。紹介予定派遣は、派遣先の企業に直接採用されることを前提とした派遣の働き方です。そのため、正社員や契約社員として雇用されることを目指している求職者に注目されています。
この記事では、紹介予定派遣と通常の派遣の違いや、紹介予定派遣のメリットとデメリットについて解説します。

紹介予定派遣とは?

「紹介予定派遣」は、派遣先の企業に正社員や契約社員として直接雇用されることを前提として派遣される働き方です。

紹介予定派遣のしくみ
一定期間派遣社員として就業し派遣期間終了後に、派遣社員は「継続して働きたい」、派遣先企業は「社員として働いて欲しい」と、双方が合意できた場合に正社員や契約社員としての採用が決まります。
双方の合意によって、直接雇用契約が結ばれた場合には、派遣先企業は派遣会社に紹介手数料を支払います。紹介手数料については、「上限制手数料」と「届出制手数料」のいずれかですが、「届出制手数料」で派遣会社から請求されるケースが多いようです。

・上限制手数料:支払われた賃金額の10.8%相当額を上限に徴収。
・届出制手数料:派遣社員の年収の50%を上限に徴収。

紹介予定派遣と派遣の違い
紹介予定派遣と派遣は、派遣会社を通じて派遣先の企業で働くというのは同じですが、いくつかのルールに違いがあります。主な違いとしては、次のようなものがあります。

①書類選考や事前面談の有無


通常の派遣では、派遣先の企業が派遣前に、派遣希望者の書類選考や面接を行うことは禁止されています。一方で、紹介予定派遣では派遣前に書類選考や面接が行われます。これは、紹介予定派遣は派遣期間終了後に、正社員や契約社員として採用することが前提であることから、企業は事前に選考する必要があるからです。そのため、事前審査の段階で企業から断ることもできます。

②派遣期間


通常の派遣では続けて同じ部署で業務をする場合、労働者派遣法によって、派遣期間は最大で3年以内と定められています。一方で、紹介予定派遣の派遣期間は最大で6カ月、一般的には3~6か月です。そして派遣期間終了後に、派遣先企業は正社員または派遣社員として直接採用するかどうかの判断をする必要があります。直接採用せずに派遣社員として業務を行わせることは法律違反となります。

③直接雇用される時の手続き


通常の派遣の場合には、派遣先の企業は派遣期間中に派遣社員を直接雇用したいと思っても、雇用契約を結ぶことはできません。これは、派遣会社と派遣先企業で交わす派遣契約に、派遣期間中に派遣先が派遣社員を直接雇用することを禁止する定めを設けることが一般的であるからです。もし、これを無視して直接雇用を行えば賠償のリスクが発生します。
一方で、紹介予定派遣は直接雇用が前提のため、派遣期間内でも両者の合意があれば、直接雇用することができます。ただし、紹介予定派遣の派遣社員を直接雇用する時には、派遣先企業は派遣会社に人材紹介の相場の手数料を支払う必要があります。

直接雇用される比率
紹介予定派遣は、契約期間の終了後に派遣先企業と派遣社員の双方の合意があってはじめて、直接雇用の契約が結ばれます。そのため、紹介予定派遣から必ず直接雇用に移行するわけではありません。
厚生労働省が発表した「平成30年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、平成30年度で紹介予定派遣により労働者派遣された労働者数は36,791人で、そのうち紹介予定派遣で職業紹介を経て直接雇用に結びついた労働者数は19,214人でした。したがって、紹介予定派遣で派遣された人のうちの約52%が直接雇用となっています。

参考:厚生労働省が発表した「平成30年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」

紹介予定派遣での採用メリット

紹介予定派遣には、企業側と派遣社員側のそれぞれにメリットがあります。

派遣社員からみた紹介予定派遣のメリット
1.派遣期間中に業務や社風を体験できる
最近では、新卒採用でインターンシップを受け入れる企業も多くなってきましたが、転職での正社員の採用では実際に働いてみてから入社するかどうか判断することは難しいものです。紹介予定派遣の場合には、派遣期間の間に自分に合っている会社かどうかや必要とされるスキルや知識に対応できるかなどを判断できるため、入社後すぐに退職する可能性が低くなります。

2.未経験や経験が浅くても応募できる
中途採用や通常の派遣では、経験やスキルを持った即戦力の人材を求める求人がほとんどです。しかし、紹介予定派遣の場合には、最大で6カ月の派遣期間の間に、経験を積むことができるため、未経験や経験が浅くても採用される可能性があります。

3.就職・転職活動に派遣会社のサポートを受けられる
紹介予定派遣では、派遣会社が就労先の企業を紹介してくれるため、自身で就職・転職活動を行う必要がありません。もし、派遣期間終了後に直接雇用の合意に至らなくても、引き続き派遣会社のサポートが受けられます。

企業からみた紹介予定派遣のメリット
1.採用のミスマッチによる早期離職を防げる
派遣社員からみたメリットと同様に、採用のミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。また紹介予定派遣の場合には、派遣期間中に派遣社員の働きぶりを確認できるため、書類選考や面接試験ではわからない業務能力や性格なども把握することができます。

2.求人や採用に関わるコストの削減
紹介予定派遣の場合には、派遣会社に手数料を支払う必要はありますが、求人広告や面接や試験の手間やコスト、問い合わせに対応する時間など、求人や採用に関わるコストを削減することができます。

3.事前に書類選考や面接を行える
通常の派遣では、事前に書類選考や面接をできませんが、紹介予定派遣の場合には、事前に履歴書や職務経歴書といた書類の確認や面接試験によって、事前選考を行うことができます。これにより、採用のミスマッチを防ぐことができます。

紹介予定派遣での採用デメリット

紹介予定派遣における派遣社員と派遣先企業のメリットを紹介しましたが、一方で、それぞれデメリットもあります。

派遣社員からみた紹介予定派遣のデメリット
1.企業の選択肢が狭くなる可能性がある
自分で就職・転職活動を行う場合には、基本的に希望するどの企業にも応募することができますが、派遣会社を通す紹介予定派遣では、派遣会社が契約する企業にしか働くことができません。そのため企業の選択肢が狭くなる可能性があります。

2.正社員で雇用されるとは限らない
紹介予定派遣は、直接雇用を前提とした派遣ですが、正社員での採用が条件の求人ばかりではなく契約社員としての雇用もあります。また、直接雇用は派遣先企業と派遣社員の合意が必要で、派遣期間終了後に必ず採用されるとは限りません。

3.待遇などの雇用条件が変わる
紹介予定派遣の場合には、時給で給与が支払われるのが一般的ですが、直接雇用で正社員や契約社員となると月給制になるケースがほとんどです。その結果、直接雇用になったことで給与が下がることも企業によっては可能性があります。雇用先が派遣会社から派遣先の企業へとなることで、有給休暇などの条件も変わるため確認が必要です。


企業からみた紹介予定派遣のデメリット
1.紹介手数料がかかる
求人や採用に関わるコストを削減できる一方で、直接雇用する際には派遣会社に紹介手数料を支払う必要があります。手数料は派遣会社によって異なりますが、直接雇用した社員の年収の25~30%を請求されるケースが多いようです。紹介予定派遣を利用する際には、求人や採用のコストを比較して、どちらが費用対効果が高いかを事前に検討することが必要です。

2.派遣社員から辞退される可能性がある
優秀な人材で、派遣期間終了後に派遣先企業が直接雇用したいと思っても、派遣社員側から辞退される可能性があります。その場合には、また新たに派遣会社から新たな派遣社員を紹介してもらう必要があります。

3.採用できる人材が限られる
紹介予定派遣で直接雇用できるのは、当然のことながら派遣会社に登録した人材だけになります。当初から正社員での採用を目的としている場合、自社が希望する人材と出会えない可能性もあります。また、どの派遣会社と契約するかによって、その派遣会社に登録している人数や人材の質が異なります。

まとめ

この記事では、紹介予定派遣のしくみや特徴、メリットとデメリットを解説しました。
近年、労働人口の減少や売り手市場による、採用難や人材不足が多くの企業で経営課題となっています。
紹介予定派遣は、採用コストを削減の削減や採用のミスマッチによる早期離職防止など、派遣を受け入れる企業にとってさまざまなメリットがあります。そのため、紹介予定派遣のニーズは年々高まっています。一方で、デメリットもあるので、自社の課題に合わせて導入を検討してみましょう。

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