人事/経営

2021.09.07

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2021年10月最低賃金 過去最大の引き上げ

BaseUpp

2021年度の最低賃金が過去最高の引き上げとなることがニュースとなりました。最低賃金は、企業が労働者に支払わなければならない最低の時給です。違反した企業には法律によって罰則が定められています。
今回は最低賃金の基礎知識や最低賃金を下回った場合について解説します。

最低賃金の基礎知識

最低賃金とは、事業者が労働者に支払わなければならない最低額の賃金で、最低賃金法という法律に定められています。

最低賃金の種類
最低賃金には、各都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業で働く労働者を対象とした「特定(産業別)最低賃金」とがあります。
「特定(産業別)最低賃金」は、「地域別最低賃金」より高い水準の賃金が必要と認められた産業に設定されていて、両方が適用される労働者には高い方の最低賃金を支払わなければなりません。

適用となる労働者
地域別最低賃金は、アルバイトやパートタイマー、臨時社員など雇用形態に関係なく、各都道府県内になる事業所で働く全ての労働者に適用されます。
特定最低賃金は、特定の産業で基幹的に働く労働者に適用されます。なお、

18歳未満または65歳以上の人、雇用後一定期間の技能習得中の人、その産業に特有の軽易な業務を行う人は例外

とされています。

派遣労働者の最低賃金
派遣労働者の最低賃金は、派遣元の事業所の所在地ではなく、派遣先に企業がある地域の最低賃金が適用されます。
そのため派遣会社は、労働者を派遣している企業がある地域の最低賃金について把握している必要があります。

2021年の状況は?過去最高の引き上げ額に

最低賃金は、最低賃金審議会において毎年調査審議が行われて、その意見によって見直されています。最低賃金の見直しは、毎年10月1日を目途に実施されるため、労働者を雇い入れている事業者は、最低賃金を下回らないように確認する必要があります。

地域別最低賃金の決め方
地域別最低賃金は、公益代表、労働者代表、使用者代表の委員で構成される最低賃金審議会で、賃金の実態調査結果などの統計資料を参考にしながら審議して決定しています。
全国的な整合性を取るため、中央最低賃金審議会から地方最低賃金審議会に、毎年最低賃金引き上げのための目安が提示されて、地方最低賃金審議会ではその目安を参考にして、地域の実情に合わせて地域別最低賃金を決めています。

2021年の地域別最低賃金
2021年の最低賃金について、中央最低賃金審議会は28円の引き上げを全国一律で提示していました。各都道府県の地方最低賃金審議会は、足並みを揃えて28円以上の引き上げを答申して10月を目途に引き上げられる見込みです。
この28円(3%)の最低賃金の引き上げは過去最高で、全国平均で見ると現在の902円から930円に引き上げられる予想となっています。実現すると全国で最低賃金が800円を超えることになります。

給与を決める際のポイントは?最低賃金を下回ったらどうなる?

では、最低賃金の対象となるのはどのような賃金なのでしょうか。また最低賃金を下回った場合には何か罰則があるのでしょうか。

最低賃金の対象
最低賃金の対象となるのは、労働者に支払われる賃金の内、毎月支払われる基本的な賃金です。次の賃金は対象とはなりません。
・賞与など
・結婚手当など臨時に支払われる賃金
・残業代や休日割増賃金、深夜割増賃金
・通勤手当や家族手当など


最低賃金の計算法
賃金の支払いが日給や月給制の場合には、対象となる賃金を時間額に換算して最低賃金と比較します。計算方法は次の通りです。

■ 日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

■ 月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

最低賃金を下回った場合
事業者が労働者に対して最低賃金以下の賃金しか払っていない場合には、事業者は差額を支払う義務があります。
最低賃金法によって、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払っていない場合には、50万円以下の罰金の罰則が定められています。
特定最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合には、労働基準法によって30万円以下の罰金の罰則が課せられます。

まとめ

最低賃金額以下の賃金しか支払わなかった企業には罰則が課せられます。罰則が課せられると社会的信用を失うばかりか、ブラック企業というイメージがついて求人しても人が集まらない可能性もあります。
最低賃金は、毎年引き上げられる可能性があるので、最寄りの労働局や労働基準監督署で確認するようにしましょう。

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