人事/経営

2021.07.30

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リファレンスチェックとは?導入目的や注意するべき点とは【採用担当者向け】

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日本では馴染みがないものの、外資系企業やグローバル企業で行われているリファレンスチェック。雇用の流動化が進み、中途採用が活発化する昨今、中途採用時の採用調査として注目を集めています。
ここでは、リファレンスチェックの目的や流れ、質問内容について解説します。

リファレンスチェックとは

リファレンスチェックとは、中途採用時における採用調査の一種で、求職者の人物像や仕事ぶり、実績について、求職者の関係者を対象に行う採用調査です。
主に、求職者をよく知る上司や同僚などを対象に実施しますが、リファレンスチェックを実施する際は、個人情報保護法上、必ず求職者の同意が必要です。

実施タイミング
実施するタイミングは、一般的に最終面接の前後に行われます。費用の関係から、選考の最終段階に行うことが多くありますが、内定後にリファレンスチェックを実施した場合は、内定取り消しに関する法的リスクがありますので、注意が必要です。

内定後におけるリファレンスチェックの法的リスク
内定後のリファレンスチェックで、求職者にネガティブな情報が発覚した場合、内定取り消しを検討することとなります。

しかし内定は、判例上、「就労始期付解約権留保付労働契約」という労働契約が成立する考え方が確立されており、内定取り消しは労働契約法上の「解雇」に該当します。内定取り消しは、 労働契約法第16条(解雇)の定めによって、客観的・合理的で、かつ社会通念上相当である場合に限り認められ、極めてハードルが高いといえます。

内定後のリファレンスチェックは、内定取り消しリスクが生じるため、リファレンスチェックは必ず内定前に行うことが良いでしょう。

リファレンスチェックをする目的

リファレンスチェックは、申告された応募書類や面接の内容に誇張や虚偽がないかなどの「経歴確認」のほか、求職者と相性が合うかなど「雇用のミスマッチ」を防ぐ目的があります。求職者をよく知る者を対象に行うため、応募書類や面接で知り得なかった情報を把握することが可能です。

とくに、退職理由にネガティブな要素があった場合、求職者は退職理由を偽ることがありますが、このような虚偽についてもリファレンスチェックで把握することができます。

リファレンスチェックの流れ

リファレンスチェックは、次の流れで実施します。


1、求職者へリファレンスチェックの実施することと目的を説明する
リファレンスチェックは、日本に馴染みが薄いうえ、採用調査という位置付けから、求職者からネガティブに捉えられることが多くあります。リファレンスチェックを実施することを伝えるとともに、目的として、経歴確認のほか雇用のミスマッチを防ぐなど求職者にとってのメリットもあることを伝えましょう。



2、求職者からリファレンスチェックを行うことの同意を得る
リファレンスチェックは、個人情報保護法上、同意を得ることが必要ですが、法的手続きであることから、後々のトラブル防止のためにも、口頭ではなく必ず書面で貰い受けるようにしてください。



3、リファレンスチェックの対象者を決定する
リファレンスチェックの対象者は、求職者の上司や同僚などを対象にすることが一般的です。

求職者は、転職活動をしていることを伏せていることが大半ですが、求職者の退職に強い反対が見込まれるときは、同じ職場の者では難しいでしょう。その場合は、異動前の職場の者、あるいは職務上で関係が深かった者など、求職者の事情に配慮することが望まれます。



4、リファレンスチェックを実施する
自社で行う場合、決定したリファレンスチェックの対象者に連絡を取り、電話、あるいは面談形式で実施します。ただし、業務時間外に行う必要があり、日程調整が困難であることが多いほか、リファレンスチェックの対象者に大きな負担がかかります。

加えて、採用担当者において、なりすましなどの不正防止のため、本人確認の実施を行う必要があります。とくに、電話でリファレンスチェックのなりすましを請け負う業者もありますので注意が必要です。

近年では、本人確認機能が搭載されたリファレンスチェックのオンラインサービスもあります。オンラインサービスであれば、本人確認も担保され、リファレンスチェックの対象者にとっても時間の制約もなくお勧めです。


リファレンスチェックの質問内容

リファレンスチェックは、経歴確認や雇用のミスマッチを防ぐことを目的にしていることから、次のような質問をすることが一般的です。


主な質問内容

  • 退職理由
  • 職歴の内容や従事していた期間
  • 人物像や特性、能力
  • 強みや弱み
  • 求職者が改善すべき点
  • 求職者が活躍できるための条件

退職理由や職務経歴に誇張や虚偽がないかの確認のほか、求職者の人物像や強み・弱みなど、求職者をよく知る人物から客観的な評価を得るための質問項目が主となります。また、求職者が活躍できるための条件などを聞き取り、自社の企業風土や環境に求職者が合っているかなどを判断することで、雇用のミスマッチを防ぐことができます。

まとめ

まとめ リファレンスチェックは、求職者をよく知る者から客観的な評価を得ることができるほか、求職者にとっても、雇用のミスマッチを防ぐことができるように、中途採用に有効なツールといえます。ただし、リファレンスチェックを行うときは、コンプライアンスの観点から、「必ず求職者に同意を得ること」「内定前に行うこと」が必要です。

雇用のミスマッチは、従業員と会社の双方にデメリットが大きく、リファレンスチェックは有用な取り組みとのひとつです。雇用のミスマッチを防ぐには、自社の働きやすさを見直すことも必要といえますが、自社でどのような働き方を見直していくかを「働き方改革診断」を行い、自社に必要な働き方の改革内容を見つけてみませんか?

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