人事/経営

2021.07.29

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副業OKの企業が増加!導入する際のメリットとリスクとは

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政府の後押しもあり、流れが加速化した副業の解禁。働き方改革の一環で、柔軟な働き方の提供とともに、スキルアップの相乗効果も期待されています。ここでは、副業の内容やメリット・デメリット、気をつけるポイントについて解説します。

副業とは?

政府の方針転換に加え、コロナ渦を背景としたリモートワーク進展等により、加速化する副業解禁。ここでは、副業解禁に伴うモデル就業規則の改定内容や副業・兼業に関するガイドラインの解説をします。

副業とは

副業とは兼業ともいい、主に収入を得ている就業先とは別に、在宅ワークやアルバイトなどの副収入を得ることをいいます。

2017年3月の働き方改革実行計画に基づき、厚生労働省は、2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の策定と「 モデル就業規則」の改定を行っています。2018年が副業解禁元年といわれる所以は、この背景にあります。

モデル就業規則の改定内容は?

従来のモデル就業規則は、副業・兼業の禁止が定められていましたが、改定後のモデル就業規則においては、原則、次の条件に該当する場合を除き、副業・兼業を認めるよう改定されています。

【副業・兼業の禁止・制限の対象】
1.労務提供上の支障がある場合
2.企業秘密が漏洩する場合
3.会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
4.競業により、企業の利益を害する場合
詳細は、引用・厚生労働省「モデル就業規則」をご参照ください。

副業・兼業の促進に関するガイドラインとは?

副業・兼業の促進に関するガイドライン(以下、「ガイドライン」)は、2018年に制定され、2020年に改定されています。

内容は主に次のことを定めています。

・副業・兼業を認めるための就業規則等の整備
・副業・兼業を始める前の会社の整備事項(届出書類の整備、労働時間の算定等)
・副業・兼業を始めたあとの管理方法(労働時間の算定、健康管理の実施等)
詳細は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をご参考ください。

企業が副業を解禁するメリット・デメリット

副業元年から3年経過した2021年の 調査によると、副業を認めている企業は約5割に上っている結果となっており、テレワークの進展も相まり、副業解禁の流れは今後も進むと考えられています。

ここでは、企業が副業解禁するメリット・デメリットを紹介します。

知っておきたい副業解禁のメリット

副業解禁の効果について、 帝国データバンク「2017 年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の調査結果によると、「定着率が向上した(26.6%)」が最も多くなっています。
次いで、「従業員のモチベーションか高まった(16.5%)」、従業員のスキルが向上した(16.2%)」、「多様な人材の活躍を推進できた(11.1%)」と続いています。

副業・兼業を認めなければ、退職者が増加するという理由で副業を解禁した企業もあり、この背景が定着率向上につながっていると考えられます。

また、従業員のスキル向上については、副業によるスキルや知見が本業に貢献していることがあげられています。例えば、副業として起業することにより、経営者としての目線を持って仕事に取り組むことができるなどです。
これによって、モチベーションが高まっているといえます。

気をつけておきたい副業解禁のデメリット

副業解禁について、事故や怪我、病気などが心配であるという企業もありますが、主に、次のようなデメリットがあります。

・労働時間の通算
労働時間は、副業先の労働時間を通算して管理する必要があります。これによって、36協定は副業先の労働時間を通算して本業の企業が管理する必要があります。
ただし、業務委託契約等の場合は労働時間管理の必要は生じません。

・健康状態の把握と社会保険
健康確保措置の対象者選定については、副業による労働時間の通算をすることとはされていませんが、本業・副業先との情報交換により、健康管理の取り決めが必要となる場合があります。
また、雇用保険や労災保険について、副業先で生じた事象に対し、本業の保険適用ができない可能性がある等の懸念があります。

副業解禁する際に気を付けるべきポイント

副業解禁にあたっては、本業に支障を出さないなど容認の条件を定めることが必要です。ここでは、副業解禁する際に気を付けるポイントとして就業規則に定めるべき事項を説明します。

安全配慮義務

労働者が副業による長時間労働を把握しながら配慮しない場合、安全配慮義務違反に問われる可能性もあります。また、労働時間通算により、36協定に反するような場合は刑事罰の対象となります。

このため、副業先の労働時間を通算した労務間を徹底するとともに、労働者においても自身労働時間を管理徹底することが求められます。就業規則には、モデル就業規則に基づき、長時間労働等によって労務提供に支障がある場合は、副業を禁止、または制限することをできるように規定する必要があります。

競業避止義務

労働者は、在職中、自身の所属する企業と競合する業務を行わない「競業避止義務」を負っています。ただし、同一の業種・職種であっても、本業先の正当な利益を不当に侵害されないものであれば、認めるべきと考えられています。

このため、モデル就業規則に基づき、自社の正当な利益を害する場合についても、副業を禁止、または制限することをできるように規定することが必要でしょう。

秘密保持義務

労働者は、業務上の秘密保持義務を負っています。副業解禁によるリスクは、副業先で本業の情報漏洩、あるいはその逆も考えられます。

このため、モデル就業規則に基づき、業務上の秘密が漏洩する場合についても、副業を禁止、または制限する規定が必要です。

まとめ

本記事では、副業の内容やメリット・デメリット、副業解禁の際に気を付けるポイントを解説しました。

副業解禁は、従業員の定着率やモチベーションの向上などが見込める一方、副業先の労働時間を通算して管理することのほか健康状態の特段の配慮も必要です。ときには雇用保険や労災保険の適用に懸念があることがあります。

副業解禁は、柔軟な働き方やスキルアップの相乗効果も期待できますので、メリット・デメリットを踏まえて、自社の働き方について検討しましょう。

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