人事/経営

2021.07.29

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フレックスタイム制のメリットやデメリットは?勤怠管理で気を付けるべき点とは

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始業時間と終業時間を柔軟に決められるという、従業員にとっては働きやすさが魅力のフレックスタイム制。ワークライフバランスの向上が見込める反面、労務管理面では、従業員と管理者側の双方に管理徹底が求められます。
ここでは、フレックスタイム制のメリット・デメリット、勤怠管理面の注意点を解説します。

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制は、勤務時間が自由であるイメージが強くありますが、その自由度や勤務上の制限の仕組みは、労使協定で決定する事項です。ここでは、フレックスタイム制の内容や仕組みについて解説します。

フレックスタイム制とは?

フレックスタイム制とは、一定期間の定められた総労働時間の範囲で、従業員が1日の始業・終業時間、労働時間を一定の範囲で自ら決められる制度です。
1か月の総労働時間を160時間とした場合、その範囲である1か月を清算期間とし、1日の始業・終業時間、労働時間を決めることができます。なお、清算期間は従来1か月が上限でしたが、働き方改革の一環として、2019年4月に清算期間が3か月に伸長され、より柔軟な制度改正が行われています。

押さえるべきフレックスタイム制の仕組み

フレックスタイム制は、ルールの基礎となる「清算期間」「総労働時間」「1日の標準労働時間」を定める必要がありますが、そのほか任意で、「フレキシブルタイム」と「コアタイム」を定めることができます。
「フレキシブルタイム」は、始業時間、終業時間について、従業員が自ら決定できる時間帯を指します。フレキシブルタイムを設定することにより、早すぎる、あるいは遅すぎる勤務時間を抑制することが可能です。
「コアタイム」は、従業員が1日のうち一定の時間内は必ず勤務しなければならない時間帯を指します。コアタイムを設定することにより、全員の参加が必要な会議を設定できるなど、従業員間のフェイストゥーフェイスによるコミュニケーションを行いやすくなるメリットがあります。

フレックスタイム制のメリットやデメリット

フレックスタイム制は、会社と従業員の双方にメリット・デメリットがあります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを説明します。


会社のメリット

  • 柔軟な働き方を導入することにより、従業員の定着や優秀人材の確保につながる
  • 効率的な働き方や制度により、長時間労働の改善につながる

従業員のメリット

  • 通勤ラッシュを避けることができる
  • 育児や介護の両立など、ワークライフバランスの実現ができる

会社のデメリット

  • 勤怠管理が煩雑になり、出退勤に関するマネジメントに更なる労力が必要となる
  • 勤怠管理に対する意識がルーズになり、業務効率が低下する可能性がある

従業員のデメリット

  • 従業員同士のフェイストゥーフェイスのコミュニケーションが取りづらくなる
  • 勤怠の自己管理を徹底する必要がある

フレックスタイム制の導入は、ワークライフバランスの実現に大きく寄与する制度です。

2019年4月の働き方改革で清算期間が3か月に伸長され、業務配分の弾力化やワークライフバランスの一層の強化を見込める制度です。しかし、勤怠管理がより煩雑になる、長期間の労働時間の配分を従業員に任せることのリスクが伴うなとのデメリットがあります。

フレックスタイム制の勤怠管理の注意点

フレックスタイム制は、従業員に始業・終業時間の決定を委ねる制度であることから、勤怠管理面では、従業員の自己管理を徹底することが求められます。管理者においても、従業員に対する勤怠管理の更なる徹底が必要です。
ここでは、従業員と管理者における勤怠管理の注意点を解説します。

従業員における自己管理の注意点

基本的には、清算期間における定められた総労働時間に対し、実際の労働時間を満たすように自己管理が必要です。
清算期間中に総労働時間に満たない時間があった場合、労使協定に基づき、一定の範囲で次回に繰り越すことが基本です。しかし、繰り越すことを前提に自己管理を行うと、業務等に影響が出ることも考えられますので、総労働時間を繰り越すことがないよう、徹底させることが望ましいでしょう。

管理者における勤怠管理上の注意点

フレックスタイム制における時間外労働


フレックスタイム制においても、時間外労働をさせるには36協定の締結・届出が必要となりますが、時間外労働のカウント方法は一般の方法と異なります。
フレックスタイム制では、清算期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間が時間外労働としてカウントされます。なお、清算期間は歴日数でカウントする必要があり、法定労働時間の総枠は、1か月が30日の月は「171.4時間」、31日の月は「177.1時間」となります。

清算期間における総労働時間の計算方法は、次のとおりです。

【清算期間における総労働時間の計算方法】
清算期間における総労働時間 = (清算期間の歴日数 ÷ 7日) × 40時間(※)
(※)1週間の法定労働時間

清算期間における総労働時間管理


清算期間中における総労働時間の管理は、原則、従業員の自己管理ですが、ルーズな従業員は総労働時間の総枠に対する勤務時間が全く足りないという事態も考えられます。
各従業員に、総労働時間の総枠に対する勤務時間の達成度を適宜通知するなど、勤怠管理の強化とともに、業務進捗の徹底管理が必要でしょう。

まとめ

本記事では、フレックスタイム制のメリット・デメリットや勤怠管理上の注意点を解説しました。 フレックスタイム制は、従業員が始業・終業時間を一定の範囲で決めることができる、ワークライフバランスの実現に有効な施策です。しかし、勤怠管理が煩雑になる、運用を間違えると従業員の勤務に対する考え方がルーズになるといったデメリットもあります。
働き方改革の推進が業務効率の低下につながることのないよう、フレックスタイム制のメリットだけではなくデメリットも踏まえて、自社の働き方改革について検討しましょう。
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