人事/経営

2021.07.26

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パタハラとは?男性の育児休暇取得を促進するために企業ができる対策とは

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2021年6月に改正育児介護休業法が成立され、男性版産休といわれる「出生時育児休業」が創設されるなど、誰もが育児休業育児休業を取りやすい環境を整える取り組みが加速化しています。
一方、育児は女性が行うものという根強い固定観念から、男性の育児休業取得率は1割に満たしていません。この背景として、いわゆるパタハラも要因の一つとなっています。
ここでは、パタハラの概要や起きてしまう原因、対策方法について解説します。

パタハラとは?

パタハラとは

パタハラとは、「パタニティー・ハラスメント:Paternity harassment」の略であり、男性社員が育児休業や時短勤務などの育児制度の利用に対して、上司や同僚などから嫌がらせを受けることを指します。
女性の社会進出も相まり、男性の積極的な育児参加が増えつつありますが、職場において男性が育児制度を利用しづらい環境もあり、パタハラが社会問題になっています。

パタハラの主な内容

育児制度は、主に次のようなものがありますが、パタハラは、育児休業や時短勤務などの育児制度を利用することに対する嫌がらせが大半です。

* 育児休業や子の看護休暇の取得
* 時短勤務の適用
* 始業時刻の変更
* 時間外労働、深夜業の制限


上司や同僚から、「男性が利用するものではない」「奥さんが育児をしてるなら大丈夫だろう」といった言動をされ、制度利用を拒まれることや取得しづらい雰囲気が醸成されていることが多くあるでしょう。

パタハラが起きてしまう原因

いままで育児制度を使わないことが当たり前とされた男性社員が育児制度を使うことに、嫌悪感をもつ者も少なくありません。
「育児は女性が行うもの」という固定概念か強い上司の層には、その傾向が強いと思われます。育児制度を承認する立場である上司がそのような意識にあると、育児制度の利用に対してパタハラが起きる傾向が強いといえます。
また、育児制度の利用は周りの社員の協力が不可欠ですが、育児休業や時短勤務などの育児制度を利用する場合、制度利用者の業務を周囲に割り振る必要があります。割り振った業務が一部の社員に偏るなどで不満が起こることもあり、この不満もパタハラが起きる原因の一つです。

パタハラを防止するための対策方法

パタハラは育児介護休業法で禁止されている行為ですが、育児・介護に関するハラスメント行為の防止を目的に、企業は罰則規定や教育体制、相談体制などの構築義務が課されています。
この防止策の取り組み事項である教育体制、相談体制などを解説します。

パタハラを防止するための教育体制

コンプライアンス体制の一環として、全社員を対象に、男性の育児制度利用を促進させることの目的や制度の内容、パタハラの定義や罰則などコンプライアンス研修を実施しましょう。パタハラの相談窓口をしっかり伝えることも、パタハラ防止のための大きなポイントです。

また、男性の育児休業対象者となる社員に対して、男性の育児制度の詳細説明など育児制度を利用する立場としての教育研修を実施することも有用です。

男性の制度利用者が少ないうちは、義務化されている「育児制度を個別に通知」「育児休業の取得意向を確認」について、対象の男性従業員に加えて上司も同席してもらい、説明することも有効な手段と考えられます。

パタハラ等の相談体制

パタハラの相談体制の構築が法的に義務付けられていますが、コンプライアンス相談窓口がすでにあればその窓口をパタハラ相談窓口に、なければ新たに相談窓口を設置します。
相談窓口を設置することで、パタハラの行為者にとっては、訴えられたくないという抑止力が働きますので、パタハラの相談窓口の連絡先や利用方法を教育研修や社内通達で必ず周知しましょう。

周りの従業員への配慮

育児制度の利用は周囲の社員の協力が不可欠ですが、業務を割り振られた社員に負担が大きいと育児制度利用者に対する不満が高まります。
この不満が高まらないように、一部の社員に負担が偏らないようにする、あるいは他の社員も休みやすい体制をつくり、「お互い様」の雰囲気を醸成することも有効な施策です。

まとめ

本記事では、パタハラの概要や起きてしまう原因、防止策について解説しました。 日本企業では、男性の育児制度利用は1割にも満たないことを背景に、法改正の下、国は男性の育児制度の利用促進を進めています。しかしながら、男性の育児参加を実現するには、「育児は女性が行うもの」という古い固定概念を経営者と従業員の両者において払拭することが不可欠です。 男性の育児参加は働き方改革の一環ですが、これを機に、自社でどのような働き方を推進していくべきかを知るために「働き方改革診断」を実施し、自社に必要な改革内容を見つけてみませんか?

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